南フランスの片田舎。
美しい自然の中で、今日も人々は平和な営みを続けている。
だが、子供たちの世界は別だった。
彼らは自分たちの秩序をつくり、
その中であり余る生命力をぶつけ合うのだ。
となり合った二つの村、
ロンジュヴェルヌとヴェルランの子供たちは、
いつも睨み合っていた。
ロンジュヴェルヌの大将は体の大きい ルブラック。
片やヴェルランの首領は ラズテック。
戦場は村の境界にある砂地の原っぱ。
勝った方が戦利品として
相手の服のボタンをむしり取っていた。
ある日ルブラックは、
戦いに負けてボタンを奪われた挙げ句、
家に帰ると親に大目玉を食らってしまった。
今度は何とか無傷で勝ちたい。
そこである妙案を思いつくのだった…。
1907年フランス・パリ生まれ。
独学でデザインを学び、1935年からカッサンドルの設立した「アリアンス・グラフィック」でポスターを描き始める。モンサヴォン社の「牛乳石鹸モンサヴォン」の広告が人気に火をつけ、以降、身近な食料品や日用品に限らず多様な広告を製作し、世界中の人々に今日もなお愛され続けている。映画ポスターでは、本作の他にロベール・ブレッソン監督の『湖のランスロ』が知られている。
(「クレヨンしんちゃん」野原しんのすけ役)
大人にとってはちっぽけでも、彼らにとっては大切なものを抱えながら何にも恐れず戦う姿は、可笑しく、かっこよくもあり、儚い。
お芝居の経験がない彼らが演じたからこそ、自然に楽しんでいる姿にこちらも楽しくなってしまうのではないかと思います。
現代ではできないであろうこの映画は、幼い頃からお芝居をしてきた身からすると、このような映画に出演してみたかったと心から思いました。
子供たちのパワーには、驚きもあり羨ましくもあり!
姉たちが近所の子たちと遊びに行くのを走って追いかけていた幼少時代を思い出しました。
転んで泣いて家に帰って服を汚したのを母に怒られて(笑)。
でも、何よりも発見の毎日だった!
何事にも本気になれて感情をあらわに出来ていたあの頃。
今は大人になって色々と我慢をしているんだなぁと(笑)。
子供たちの笑顔や勢いに、元気をもらえる映画でした!
思わず口ずさみたくなる明るく快調なリズムの「わんぱくマーチ」にのって天衣無縫な子供たちの悪戯合戦が展開する。童心に返るとはこの映画のことを言うのだろう。忘れかけていた素朴な感動がよみがえる。誰もが笑顔で無邪気にたのしめよう。
監督のイヴ・ロベールが来日したとき、インタビューに応じてくれて、映画のテーマとかメッセージとか、こむずかしいことなど一切言わずに、「私は独断と孤高の芸術家よりも単なるユーモア作家として、みんなといっしょに笑い合えるほうがいい」と語っていたのがとても印象的だった。
素っ裸で戦争ごっこに明け暮れるお茶目で腕白な子供たち。ユーモアにあふれた楽しい「わんぱく戦争」が半世紀の歳月を超えて帰ってくる。素朴だが慈愛に満ちた幼い日々の輝きにたっぷりと浸らせてくれる。
子どもたちがまるで野性動物のようだ。こんな映画、現代では見られるはずもない。爆発する生命力は、それだけで感動的だ。60年前の子どもたちは呆れるほど野蛮。この野蛮さが差別や憎悪を生むのだと思う。同時に、誇りや他者への思いやりも生むのだと思う。だから人間は面白いし、過去の映画を観るのも面白い。
いたずらと喧嘩に明け暮れる、無秩序な子供たち。
……と思いきや、規律正しい子供社会のありかたに驚いた。
隣町の子らと戦うため、彼らは組織をつくり、規則や制度を決め、綿密な作戦を練る。
公正さに乗っ取って行われる戦争ごっこ。
ここでは、大人たちのほうがよっぽどでたらめで破茶滅茶だ。
遊びを通して、ひとつの社会が形成されていく。
その過程をこれほど見事に描いた映画があったとは、知らなかった。
斬新さに目を見張りつつ、無邪気なままでは生きられない厳しさに、ふと胸が痛くなる。
それでも最後の最後、少年たちはとびきりの笑顔を見せる。
この先、彼らはどこへ向かうのだろう。
できることなら、今度こそ本当の無秩序さに、自由な世界に行きついてほしい。
どこまでもアナーキーな、ジャン・ヴィゴ『新学期 操行ゼロ』のように。